北前船主の館・右近家

 武生から一山越えた河野村の越前海岸沿いに、右近家は位置している。大型の民家(本宅)とそのすぐ裏手の山の中腹に迫り出すように建てられた西洋館(離れ)、その上の山荘展示館の3つで構成されている。 本宅である民家は明治三十四年に建て替えられたもので、上方風切妻造瓦葺二階建になっている。

 玄関の木戸をくぐり、土間に入ると間の前は中央に囲炉裏の掘られた板の間が広がり、その上にはケヤキの柱に囲まれた黒々とした大吹抜けが屋根まで伸びている。材料は北前船が産地から運んだ豪勢な構えで、その中に上方文化を取り入れた繊細な造作を見ることが出来る。
展示品は、北前船の関連資料で、撮影などは禁止されている。 ぜひ見てもらいたいのは、昭和10年に建てられた西洋館である。

  本宅から裏山の階段を登ること3分。見上げると、一見木造の造りにしか見えないが、実際は1階はスパニッシュ様式、2階はスイスのシャレー(木造の民家)風という変わった外観に、内部は和洋折衷というつくりである。
 1階はインテリアもスパニッシュをベースとしていて、玄関ホールの床や暖炉まわりのタイル、玄関のグリル(金属製の透かし扉)や暖炉の鍛冶細工は見ものだ。
 2階のベランダからは日本海が一望でき、右近家の家族が夏になるとそこでくつろぐ姿が目に浮かぶようである。

 

北前船主の館・右近家
  南条郡南越前町河野2-15
  開館時間 AM9:00〜PM4:00
  (4時に閉まってしまうので、ご注意!
  休館日:毎週水曜日